先月、AppleはApple TV向けの新しいアプリをリリースしました。電子書籍をテレビ画面で楽しめるアプリです。しかし、デイヴィッド・フォスター・ウォレスの『インフィニット・ジェスト』やロン・チャーノウの『アレクサンダー・ハミルトン』、その他iBooksライブラリにあるほとんどの書籍を52インチHDTVで読めるとは期待できません。「iBooks StoryTime」と呼ばれるこのアプリは、特定の種類の電子書籍、つまり朗読本向けに設計されています。
Read-Aloudは主に児童書で使われる技術で、EPUB 3仕様で規定されている「メディアオーバーレイ」を採用した電子書籍を指す名称の一つです。(このフォーマットについてもっと知りたい方は、Alberto Pettarinによる詳細なブログ記事をご覧ください。詳しい情報が得られます。)
このような電子書籍には、テキストと画像だけでなく、ページ上の文字と同期した録音された音声トラックも含まれており、ページがめくられると同時にページがめくられます。ほとんどの朗読本では、読み上げられているテキストが単語ごとまたは行ごとにハイライト表示されます。
AppleはiBooks Storeで様々な朗読本を販売しており、そのほぼすべてが若い読者を対象としています。Appleで既に朗読本を購入済みの場合は、アプリ内のiBooks StoryTimeコレクションに自動的に表示されます。Appleは既にこのようなタイトルを販売しています。まだお持ちでない方もご安心ください。アプリを初めて起動すると、Appleが「ドーラといっしょに大冒険」の無料本を1冊プレゼントいたします。
幼い読者向けに設計されたアプリであるiBooks StoryTimeは、非常にシンプルなインターフェースを備えています。iBooks StoryTimeライブラリから本をクリックして開き、アプリをクリックして読み上げを開始します。アプリの設定に応じて、アプリが本を読み上げてくれるので、あとはただ座って待つだけです。Siri Remoteの再生/一時停止ボタンを押すと再生が開始または停止し、Siri Remoteのタッチパッドをスワイプまたはタップするとページを戻したり進めたりできます。より静かに読書を楽しみたい場合は、アプリの設定メニュー(本を読んでいるときにタッチパッドを下にスワイプすると表示されます)で読み上げ機能を無効にできます。
このようなミニマルなインターフェースは、一部の幼い読者には刺激が強すぎるかもしれません。また、79ドルもする壊れやすいSiri Remoteを、誰かの手に渡すことに抵抗を感じる親も多いでしょう。誰かに噛まれたり、部屋の向こうに投げ飛ばされたり、水槽に落としてネオンテトラにも読ませてしまうかもしれないからです。Appleはこうした懸念を理解しており、読み聞かせは親子で共有する体験であると考えています。Apple TV App StoreのiBooks StoryTimeのマーケティングメッセージには、「お子様のお気に入りの読み聞かせ本を大画面で一緒に体験しましょう」と書かれています。
いずれにせよ、親の懸念は残る。スクリーンタイムをすでに心配している人は、読み聞かせ本を加えることでその時間を増やさないようにしたいと考えるだろう。愛する子どもと「グリーン・エッグス・アンド・ハム」を1日11回目も一緒に読み聞かせる時間や忍耐力のある親は多くないだろう。キツネと一緒でも、箱に入っていても無理だ。しかし、iBooks StoryTimeに親の責任を委ねるのは良い考えだろうか?そうすると、それは単なるデジタルベビーシッターになってしまうのだろうか?
TidBITS 出版者の Adam Engst 氏は、iBooks StoryTime について知った時、このコンセプトに多少の嫌悪感を表明した。彼は長年息子 (現在高校 3 年生で大学進学を志望している) に本を読んできた経験があるからだ。Adam 氏は、単に文字を視覚的に表示して声に出して読むというのは、子供に本を読むことの最も機械的な側面に過ぎないと指摘した。自分で読み聞かせることのその他の利点としては、子供を膝に座らせて物理的に近づけること、一緒にページをめくること、本の内容について話し合うこと、そしてトーン、音量、読む速度などを調整できることなどが挙げられる。さらに Adam 氏によると、彼と Tonya は Tristan に何百冊もの本を読んであげたが、今でもそれらの本は棚にたくさんあるが、その多くは
購入したものではなく公立図書館から借りてきたものだという。
iBooks StoryTimeのリリースは、まず第一に、Appleがオンラインメディアをもっと売るための新たな手段、今回は幼児向け…しかもホリデーシーズンに間に合うように!とはいえ、子どもの読み書きの学習に役立つものなら何でも歓迎する親もいるだろう。デジタルベビーシッターとして、iBooks StoryTimeは、壊れやすいiPadやiPhone上の多くのビデオやゲーム風アプリよりも良い選択肢となるかもしれない。
iBooks StoryTime はヒットになる可能性もあるが、数か月間 Apple の注目を集めた後に奥の棚に追いやられる、単なる電子書籍関連の取り組みの一つに過ぎない可能性の方がはるかに高い。